症状&検査
子宮内膜症とは、本来、子宮の内壁で増殖・剥離を繰り返す“子宮内膜”とよく似た組織が、何らかの原因で、子宮の内壁以外の場所で女性ホルモンの影響を受けながら、月経周期と同様に、増殖・剥離を繰り返す良性の病気です。
【症状】
生理痛(年々強くなってくるのが特徴)
生理以外の下腹部痛・腰痛
生理時の吐き気・下痢症状など
頻尿
性交痛
不妊状態
子宮内膜症の代表的な自覚症状は生理痛ですが
痛みには個人差があって、自覚症状がないまま卵巣チョコレート嚢胞を破裂させてしまった人・重症化させてしまった人もいれば、毎月日常生活に支障をきたすほどの痛みがあるのに、病巣の特定できない人もいます。
不安な点が有るのなら悩む前に癌検査も兼ねて病院を訪れてください。
ごくまれな例ですが、子宮内膜症が肺・大腸・膀胱などの臓器に出来ると(他臓器子宮内膜症)
生理時にそれぞれ「喀血・下血or血便・血尿」など病巣からの出血があり、その事から子宮内膜症と判断されることもあります。
【検査】
問診票
問診がスムーズに進むよう、初診受付を済ませると問診票を渡されます。
生理に関すること(初潮年齢や周期について)、中絶・流産・出産経験の有無や回数、薬に対するアレルギーの有無、家族を含めた今までの病歴や、どういう症状があって病院を訪れたか記入します。
問診
痛みのある場所や時期、どういう風に痛むか、以前と比べてどうかなどの症状は、子宮内膜症であるかどうかの判断に大きく影響しますので、症状は詳しく伝えられるようにしましょう。
内診
子宮や卵巣の位置や大きさ、傾き・固さ・周囲との癒着の有無などを触診したり、膣鏡を使って膣内や子宮頸部の様子を観察します。
誰もが一番受けたくない検査ですが、正確な診断には欠かせないものです。
内診を受ける時は、ショーツをはずして局部を診ることになるので
下半身が必要以上にむき出しにならないようパンツ・スタイルよりスカートで
タイトスカートより分量のある長めのスカート・OPがお勧めです。
超音波検査
超音波を体に当てて、はね返ってくる反射波(エコー)によって内部の断面を画像にしたもので、全くの無痛検査です。
超音波を発信する箇所をお腹に当てるものと、膣の中に挿入して映し出す2タイプがあります。
血液検査(腫瘍マーカー*CA-125など)
卵巣癌の検査に用いられるものですが、子宮内膜症患者も正常値(35U/ml以下)を上回る数値を示す事から取り入れられましたが、数値に個人差があることから現在では、子宮内膜症であるかどうかより、病状の監視手段として使われています。
高い数値が出たから子宮内膜症が重症と言う訳ではありません。
MRI・CT検査
MRIは磁気、CTはエックス線を利用した断層撮影法です。
CTは体を輪切り状態に、MRIは縦横斜めに、超音波エコーより鮮明に写し出す上に
MRIは血液が良く写るので、卵巣チョコレート嚢胞と他の卵巣嚢腫や卵巣癌の鑑別、子宮腺筋症と子宮筋腫の区別に役立ちます。
*MRI検査*
かまぼこ型の空洞に頭から入っていくので、閉所恐怖症の人には、ちょっと辛い検査です。
最近、静穏タイプの物が開発されたそうですが、工事現場のような音がうるさいです。
検査着を着用する所、しない所がありますが、金属が高熱を発してしまうので、ファスナーなどの金属類の付いていない服装で行く事をお勧めします。
(体内にペースメーカー、骨折治療のボルトなどの金属が入っていると受けられないそう)
より鮮明に写し出す為、造影剤を注入する場合もあります。



以上の体の外側からの検査では、子宮内膜が卵巣にでき卵巣がだんだん大きくなっていく“卵巣チョコレート嚢腫”は比較的容易に発見できますが、腹膜などにできた子宮内膜症などは病巣が小さい為発見する事が出来ません。(MRI・CT検査でも極小さな病巣は写らない)
発見の容易な“卵巣チョコレート嚢種”でも実際に手術したら、他の嚢種である場合もあります。
ですから以上の検査を総合的に判断して、「おそらく子宮内膜症でしょう」という“臨床診断”が下されます。
本当は子宮内膜症なのに病巣が発見されない為に診断のつかない人、違う病気なのに“子宮内膜症”と言われて治療薬の副作用に苦しんでいる人(他の卵巣嚢腫は薬物治療の効果はでない)って案外多いんじゃないかな?と思います。
以上の検査の他に、癒着が疑われる場合、同じように癒着が引き起こされるクラミジア感染の可能性もあるので“クラミジア検査”(血液検査)、不妊が同時にある方は“卵管造影検査”をプラスされる場合があります。
【診断】
上記の検査では“臨床診断”という「おそらく子宮内膜症でしょう」という診断しか下せません
“臨床診断”は必ずしも100%の結果ではなく、「間違いなく子宮内膜症である」という“確定診断”を受けるには、腹腔鏡下手術か開腹手術で切除した病巣の細胞を調べ、子宮内膜の組織が発見されて初めて下されます。
“腹腔鏡検査”という言葉も良く耳にしますが、腹腔鏡(内視鏡)でお腹の中を覗くだけでなく切除出来る病巣は全て取り除きます。
参考文献
“生殖医療の全て”(堤 治)/丸善ライブラリー
専門のお医者さんが語るQ&A“子宮内膜症”(杉並 洋)/保険同人社
専門のお医者さんが語るQ&A“月経異常”(楠原 浩二)/保険同人社
絵で分かる“女性の医学”(中村 理恵子)/西東社
サーチ:
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